雑誌「Hospitalist」とは

今日本に必要な
実践的“応用力”を身につけた,
真に求められる
日本型ホスピタリスト像に迫る

米国では入院患者の診療に,ホスピタリストがその主導的地位を確立しています。翻って日本での病院医療を考えたとき,疾患臓器ごとの専門分野に分かれ,幅広い知識をもって真に総合的な診療を提供できる医師は少なく,また,制度としての「総合医」は出来上がったものの,それだけではまだまだ十分とは言えません。
 日本の実情に即した病院医療Hospital medicineのあり方を考え,そこで必要なGeneral internal medicine(GIM)としての知識・能力を明確にし,各地域で担う病院の役割に応じて応用のきく「日本型ホスピタリスト」の概念を広めていく必要があります。日本型ホスピタリストとは基本的には,病棟に加え,地域医療連携を含めた外来診療も担い,専門医やコメディカルといった医療チーム全体を患者中心にまとめあげることのできるジェネラリストです。
 2013年9月創刊の「Hospitalist」誌では,日本型ホスピタリスト像を示すため,臨床での具体例を取り上げ,その場においてホスピタリストに求められる考え方・知識を示していきます。また,エビデンスに基づいた世界標準の医療を示し,日本の医療現場で読者が正しい判断を下し,実践していくための考え方や知識を提供します。加えて,これらを各施設・状況に応用できる力が求められると考えます。
 そして,日本型ホスピタリストを実践しているエキスパートや施設をロールモデルとして紹介し,草の根ネットワークを広げ,新しい文化を育てていくことを目指します。
 対象読者は,日本型ホスピタリストを志す卒後5~7年目の医師をコアとし,ジェネラリストとして日本の医療を支えている第一線の医師です。

「日本型ホスピタリストを 今,ここから発信」
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八重樫牧人ごあいさつ

略歴

八重樫牧人
千葉西総合病院 内科

弘前大学医学部1997年卒、亀田総合病院研修、在沖縄米国海軍病院シニアインターンを経て、東京海上N-programの紹介で2000年からニューヨークのコロンビア大学関連St. Luke’s-Roosevelt病院で内科研修、2003年からニューヨーク州立大学Downstate校で呼吸器内科研修、2005年からピッツバーグ大学病院で集中治療研修を修了し、2006年から現職場で初期研修医・後期研修医を教育しつつ入院患者も外来患者も診療している。

著書は亀田総合病院 総合診療・感染症科マニュアル(医学書院)等。米国内科・呼吸器内科・集中治療科専門医、米国内科学会上級会員(FACP)、米国胸部医師学会上級会員(FCCP)。

Hospitalistに対する思い

私は米国で内科系サブスペシャリティーの研修と内科系ジェネラリストの研修をしましたが、日本に帰国してからは、ジェネラリストとして後輩の育成に努めています。

その理由としては、日本ではジェネラルな診療ができる医師がもっともっと必要で、それが高齢で基礎疾患が多い日本の患者さんが多い中で医療費が破綻することなくエビデンスに基づいた医療が過不足なく提供でき、皆が幸せになれる近道だからです。そのためには日本語でエビデンスに基づいた医療を幅広く学べる教材が必要で、我々の機関誌であるHospitalistはまさにそれになると期待しています。

現在、日本でもジェネラリストの重要性がようやく広く認識されてきていますが、米国ではホスピタリストが爆発的に増加しています。米国型システムの良い点を参考にして、圧倒的にニーズが多い入院診療を担う成人のジェネラリストが疲弊せずに臓器別専門医・家庭医と協力して予防医療を含めた標準的な医療で一人でも多くの国民を幸せにする、その助けになる雑誌にHospitalistを育てていきたいです。

ホームページもそのためのツールとして素晴らしいですね!よろしくお願いします。

平岡栄治 ごあいさつ

略歴

平岡栄治
東京ベイ・浦安市川医療センター総合内科部長

1992 年神戸大学卒。同年同大内科,三菱神戸病院,兵庫県立淡路病院で研修。神戸大学大学院医学研究科(循環器内科学),公立豊岡病院循環器内科を経て,2001年Hawaii大学内科レジデント。帰国後,2004 年神戸大学総合内科,2010 年神戸大学大学院医学研究科地域社会医学・健康科学講座を経て,2012年より現職。
専門医:日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、米国内科学会専門医

Hospitalistに対する思い

現在、高齢化、医療の細分化や社会制度の複雑化で米国のみならず日本でも病院総合医(ホスピタリスト)の必要性が増してきています。病院総合医に必要な能力は、幅広い知識、コミュニケーション力、教育力、病院内・病棟内でのリーダーシップ力などです。そういったことを身に着けるための教育機関としてJHospitalist networkが設立されました。
 今後、さまざまな活動を行っていきます。まずは、2013年9月に病院総合医の教科書になるような雑誌Hospitalistを刊行しました。この雑誌はエビデンスに基づき、さらに日本での診療に役立つ実践的な内容も含む、いわゆるNEJM, JAMA, Lancet, Annals of Internal MedicineなどのReviewを集めたようなレベルの高いものを目指しています。さらに国内の病院総合医を目指す医師や病院総合医の発展に協力していただける医師のコミュニケーションの場としてのメーリングリスト、病院総合医の勉強会開催情報、各種レクチャースライド、ジャーナルクラブの共有、レクチャーの動画配信を行い病院総合医の発展を目指していきます。教育のみならず多施設で行う病院総合医の臨床研究の場となるように尽力します。これらを遂行し日本に病院総合医という概念を日本国内に普及させるにはみなさまのお力が必要です。是非ご協力よろしくお願い申し上げます。

 

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